電子メールの自動送信

データの処理には大きく分けて入口と出口がありますが、出口のひとつとして割とひんぱんに要望されるものが、電子メールの自動送信だったりします。

とても単純な用途ではありますが、たくさんの宛先に間違いなくメールを届けるというニーズは、今のところ尽きることはなさそうです。同一のメールをたくさんの送信先に送ろうとして、送り先とかCCの欄に宛先のメールアドレスをみんな書いてしまった、なんていう失敗談も同じくらい尽きませんが…

通常、プログラム的にメールを自動送信するときは、一通ごとに個別に送信先のアドレスを設定しますから、複数のメールアドレスがみんなにばれてしまう、ということはありません。また、1000通だろうと2000通だろうと、メッセージのコピペをミスすることもありませんから、いったん起動したあとはしばらく放っておくだけでよく、人間の労力をとても節約することができます。

(もっともっと大量のメールを送ろうとすると、場合によってはスパム業者のようなものとみなされて、インターネット側から「出禁」相当の制限を受けてしまうことがありますので、限度を見極めておく必要はありますけどね)

プログラム的なメールの自動送信でさらに便利なところは、メールの文章の中身を、送る人にあわせて少しずつカスタマイズできる、というのも大きいでしょう。メールの冒頭に「○○さまへ」という前文がついているだけでも、ちゃんとその人に向けた特別なメッセージに見えるものですし、本文中にも、その人ごとに、現在のポイント数とか、その人向けの星占いとか、いろいろ混ぜ込むことができたりします。その人向けの添付ファイルをくっつけて送る、なんていうこともできるでしょう。

メールソフトによっては、もともとこんな機能を備えているものもあるようです。または、初期状態ではできなくても、追加機能としてこんな機能を付け足せる、なんて仕組みをもつメールソフトもあります。どの場合も、たぶん「メールマージ(Mail Merge)」という名前がついているのではないかと思うので、ネットでこういった機能のことを調べるときにはこの用語を覚えておくとよいです。

メールの一括自動送信の機能を提供するときに筆者が意識するようにしているのは、「カラ撃ち」モードが選択できるように、という点です。つまり、実際にメールの送信までは行わないのだけど、どういう宛先にどういうメールを送ることになりますよ、全部で何通になりますよ、というシミュレーションだけ行って、確認用にそれのレポートを出力する、というものです。

なにかプログラム作成やデータの準備に失敗して、ヘンテコな内容のメールを多数に配りまくってしまう、というのは非常に恥ずかしいですし、一人に向けて1000通のメールを誤って送りつけてしまった、なんてことがあれば大いに迷惑です。そこに、本来送るはずだった人たちの個人情報なんかが記されていた日には、大騒ぎになってしまいます。なにせ「他人」がからんでくると、安易にトライ&エラーを繰り返すことはやりにくいですから、最初に手元で思う存分操作を試しておきたいものです。

何か自動化の仕組みをつくったときは、最初の何回かはこの「カラ撃ち」モードを最初に試してから次に本番のメール送信を行うこと、として運用をしてもらい、確実さに自信が出てきたらそういうのを省いてメール送信、という順序を踏むのをおすすめします。

メールを送るのでなく、SMS(ショートメッセージ)を送りたいとか、FAXを送りたいとか、そういったバリエーションもあるかもしれません。これらはたぶん、別途に送信用のソフトウェアやサービスを購入しておく必要が生じますが、そこへの接続ルールさえ明らかになれば、プログラム的にその接続と通信の処理を行って、同じように自動化プロセスの一部とすることができるでしょう。もっともポピュラーなのはやっぱり電子メールかなとは思いますが。