MS Accessの使いどころ
Microsoft Office製品の中で、WordやExcel、あとPowerPointの使い方なんかは割と分かっても、Access(アクセス)を何に使うの、ということをズバリ答えられるひとはそんなに多くありません。
データベースを扱うアプリケーションなんだよ、と説明されても、それだけではやっぱり分からないかもしれません。マス目にデータを入れる仕組みであることはなんとか分かるし、Excelと似たようなものかなあ、くらいの感想なら出てきそうですが。
Accessをうまく使いこなすと、ちょっとした情報システムならこれだけで作ってしまうことができます。ほどほど器用にデータ入力の画面をこれで作ることができますし、ほどほど高性能なデータベースの機能(数百万件のデータなら余裕)も持っていますし、ほどほど表現力のある帳票出力機能もあります。Windowsのファイル共有を併用すれば、データ入力や編集を複数のコンピュータから行うことが可能なので、何人かで協力してデータを整備していく、という仕組みも作れるようになっています。
それに加え、データベースの中身をどのようにフィルターして並べ替えたいか、またはどういうデータをグループにして数字の合計を見るか、というレシピをあらかじめ作っておき(クエリーっていいます)、これを呼び出すことで、いろいろな側面からデータを確認したり、集計表をすぐに作ったりできます。
こういった機能をうまく設計して組み合わせれば、業務で使いたいデータ管理にはこれだけでも充分だ、となることも結構あるのです。
Accessには、その内部で自作のプログラムを動作させるという機能もあります。VBAという言語でこれを書くのですが、これが、入力フォームに入力された値に反応して動作したり、ボタンが押されたタイミングで動作したりします。このプログラム部分には、業務固有のデータ操作ルールを書いたりすることになるでしょう。データ全体の締め処理みたいなものも、VBAで書いてしまうことができます。ここまでやれれば、いよいよ広い範囲の業務をカバーすることができますね。
WordやExcelの親戚程度のものかな、と思いきや、Accessは、フル機能に近い情報システム開発ができるアプリケーションだったのです。
Accessは長い期間をかけて機能を成熟させてきていますので、安心して使えるソフトウェアです。ただし、あまり大規模なデータベースを抱えて、データ更新や照会の頻度もとても高くなってきた場合は、パフォーマンスに不足が出てくるかもしれません。なので、これで作ったシステムが大きな会社の基幹システムとして中心に据えられることはあまりないでしょう。
ですが、Accessには、外部のデータベースに自らを接続するという機能もあります。自分自身のデータでなくて、別の高性能データベースから必要なデータを参照させてもらうことにすれば、Access自身ではデータベースの負荷という問題からは解放されますから、あとは、入力フォームや帳票出力のデザインのための付随的なツールとして、なお活躍するでしょう。基幹システムの「周辺」に居場所があるというわけですね。
反対に、Accessのデータベースを、ほかの外部プログラムから参照することもできます。なので、Accessとは別につくられた自動処理が、途中、Accessで入力されていたデータを見ながらそれに従って何かの仕事を行う、ということも可能です。
Accessは、自分自身だけで完結した情報システムとなることもできますし、他のシステムと関連しながら動作する、より大きなシステムの部品として振る舞うこともできるというわけです。使いどころをうまく見極める目があれば、Accessは、きわめて広い応用範囲を持つ強力なツールになります。