フォーム作成サービス
今は、ウェブ上に入力用画面を表示して、不特定の回答者から色々なデータを書き入れてもらって集める、ということがとても楽になりました。いわゆる「ウェブフォーム」というサービスを活用することによってです。MicroSoftも、Googleも、簡易なフォーム作成サービスを提供してくれており、また、もうちょっと高機能なものを安価に提供してくれるような専用のサービスもあります。やりたいことにあわせてサービスを選んで、必要な項目をセットするだけで、即、入力用フォームのできあがりです。
「今は」と言ったのですこし昔の記憶も挙げておくのですが、かつては、ウェブサイト作成用サービスで、「動的コンテンツ」を手作りする機能が入っているようなものがありますから、それを借り、そこに手作りのプログラムをアップロードして、望む動作をさせていました。「CGIスクリプト」と呼ばれていた種類のプログラムです。「phpスクリプト」のときもあるかもしれませんが、なにしろ本質はそれほど変わりません。完全に手作りをする腕前があればそうやってスクリプトを作り、そうでもない場合には、やりたいことにあわせたスクリプトを配布してくれているサイトが当時はよくありましたから、そこから借りてきて、試行錯誤でカスタマイズしながら、最終的に臨む機能に近づけていました。
(もちろん今でもウェブホスティングサービスでCGIやphpが動くものがたくさんありますが、昔はそれくらいしか選択肢がなかった、という話です)
手作りでこしらえたり、あてずっぽうでカスタマイズしたスクリプトは、たくさんの弱点を残しがちです。悪意の加工を加えて入力された内容におかしな反応をして、他人の入力内容が流出してしまったり、もっと悪い場合には、サーバーの機能を乗っ取られてしまうようなことも起こりえました。個人の趣味でやるような場合はともかく、ビジネスのためにこういうスクリプトを利用する場合は、やろうとしていることを完全に理解して、注意のうえにも注意を重ねるくらいの姿勢が必要です。
さきに「楽になった」と言ったのは、全体的な労力が減るということもありますが、それに加えて、思わぬバグでトラブルを起こさないだろうか、という心配をする必要がとても少ないという意味での「楽」でもあります。専用のサービスを使って作成したウェブフォームは、すでに何千、何万という顧客に対して安全に提供されている実績があり、ほとんどの弱点は潰されていると期待していいでしょう。ウェブブラウザとスマホのどちらでも表示がキレイ、とかそんな調整もきっとされています。こういうサービスが活用できそうな場面では、ありがたく使ってしまえばよいです。
とはいえ、ウェブフォームサービスを使いにくい場面ももちろんあります。たとえば、注文する個数を入力して、在庫があるかないかをあらかじめチェックしなければいけないような場面。そんな判断は、別途にデータベースを参照しなければ無理ですから、一般的なウェブフォームサービスでは実現が難しいでしょう。とりあえず希望の個数をなんでも書き込ませておいて、あとでスタッフがその可否をメールで返信する、くらいの運用が必要になってしまいます。
こんなふうに、用途が違うサービスに無理なことをさせようとするのは失敗のもとです。ウェブフォームサービスは、不特定多数になにか情報を一方的に送りつけてもらうような用途に使うのがよいです。問い合わせの受付、サービスの感想、あとは何かのアンケートとか、そんな感じで。