ショートカットキーは無理に暗記しない
ショートカットキーを使いこなす人は案外少ないんだな、と思ったことがあります。それがいいとか悪いということではなくて、マウス操作でメニューをクリックする、という操作が直感的で充分に便利なので、一度それに慣れたら、特にそれ以上の操作性を求める必要がないのかもしれません。
とはいえ、一般的に最も使われる、コピー(Ctrl+C)と貼り付け(Ctrl+V)は、定番中の定番とも呼ぶべきショートカットなので、ぜひ一度は使ってみてください、とオススメすることがあります。どんな種類の作業をしようと、幾度となく使うことになるはずですので、時短効果がとても高くて、習得するコスパは最大級でしょう。
しかし、そのほかのショートカットキーは、別に無理に覚えなくてもよいと考えています。筆者自身は色々なアプリでショートカットキーを時々使いますし、それが作業の時間を実際に短くもしていると思っていますが、それでもなお、無理に使うほどのものだとは思わないです。正確には、わざわざあらかじめ暗記するまでもない、と言い換えたほうが正しいでしょうか。
でも、改めて調べてみると、アプリケーションひとつについて、相当にたくさんの機能が、ショートカットキーで使えるようになっているものです。これはメニューバー(アプリの上部に並ぶ、階層状に並んだ機能一覧)がもともとそういう機能をサポートするように設計されているからで、アプリを作る方としては、ひとつひとつの機能に簡単にショートカットキーを割り当てることができるからです。
たとえばよくある例としては、適当なアプリで、「ファイル」のメニューから「ドキュメントを開く」みたいなサブメニューがあるか、探してみてください。もしあれば、そのメニューの表示の端に、「Ctrl+O」みたいな表示も並記されていませんか。余裕があればそれを覚えてしまってもいいですが、さしあたって忘れてもよいです。いつでもこんな感じに調べられるのだな、という実感を得ておくことがむしろ大事です。今後、すごくたくさんドキュメントを開いたり閉じたりしなくてはいけないような機会が来たら、そのときに「いちいちマウス操作はだるい、ショートカットキーで楽したい」という具体的なニーズを感じるでしょう。ここではじめて、「Ctrl+O」を改めて調べて、これを活用して楽すればよいのです。ここでは例を挙げませんが、きっとドキュメントを閉じるときのショートカットキーもあるでしょうから、同様に調べましょう。
つまり、必要なときに「ショートカットキーがあるんじゃないか」と思い至るクセと、実際にそれを調べるときの方法を、それぞれ身につけましょう。
ショートカットキー操作の中でもちょっと高度なものに入るのが、「Alt」キーを押してメニュー選択モードに入るというやつです。「Ctrl」のときは他の何かのキーと同時押しですが、「Alt」のときは、いったんそれだけ押して、次にキーを連続して押しながら、最終的に欲しい機能にたどり着くという感じの操作になります。これも、メニューバーをよく見ていると、見当がつきやすくなります。たぶん、アンダーバーがついた英字1文字を、メニュー内の各項目から見つけることができると思いますよ。
例を挙げないとわかりにくいと思うので、もしExcelをお持ちでしたら、普通のドキュメント編集中の状態で、「Alt」「N」「N」「S」を「順番に」押してみてください。素早くでなくてよいので、確実にひとつづつ、キーを押して、離して、の連続でよいです。やり終わったときに、アイコンを選んで貼り付けるための画面が開きませんでしたか。こんなものをあらかじめ暗記しておく必要はちっともないですが、もしかしたら、ある日、とても大量にアイコンを貼り付けるような仕事が降ってくるかも知れません。そんなときは、このキー操作によって、きっと大幅に短い時間で仕事をこなすことができるでしょう。
アプリケーションの設計として、まずは使えるという状態にはすばやく到達できて、のちにほどほど慣れてから、ショートカットキーなどを覚えてさらに操作効率を上げることができる、という、段階的な習熟を可能にしているのはとてもいいなと思います。ショートカットキーでアプリが操作できるように作られていると、自動化処理とも相性がよくなるので、ここも利点です。